糖尿病は重症になると喉の渇き、たくさん水を飲む、だるい、体重減少などの症状をきたしますが、軽い場合は症状はありません。症状があっても治療をするとすぐに症状がなくなります。
しかし症状がない場合でも血糖が高めのまま放置すると眼底出血で目が見えなくなったり、腎不全になったり、神経障害がすすんだり、動脈硬化で心筋梗塞や脳梗塞になったり、余病がすすみ患者さんの生活の質を落としたり、死にいたることが大きな問題です。
2006年の調査では日本に820万人の糖尿病患者さんがいて糖尿病予備軍を含めると1,870万人といわれて、5.6人に1人は高血糖といわれています。しかも糖尿病患者さんは年々急速に増え続けて今はもっと多くの糖尿病患者さんがいるのは間違いありません。
このような状況で、毎年糖尿病が原因で3,000-4,000人が目が見えなくなり、13,000人以上が腎不全で血液透析を導入しています。血液透析は現在1兆円の医療費が使われており、主に糖尿病による透析患者の増加でこの医療費が毎年500億円ずつ増加しています。
しかも糖尿病の患者は今でもどんどん増え続けており、この40年で35倍に増加しています。その原因に食生活が豊かになり、自動車が普及してどこに行くにも歩くことなく移動できる、すなわち食べすぎと運動不足があげられます。
さまざまなモデルを用いて説明します
糖尿病の治療は食事療法が基本でありどのような場合にも(インスリンや内服薬治療中でも)食事療法が徹底されていなければ、何らかの糖尿病合併症が出ます。食事療法は全ての治療のなかで最も大切な治療であり、前述のように食生活が40年前の状況になれば殆どの糖尿病患者は薬もなしに治ってしまうほどです。
今注目を集めているメタボリックシンドロームも原因は食生活の偏りです。糖尿病以外にも癌の予防、高血圧、高脂血症、高尿酸血症、心筋梗塞、脳梗塞、肥満など生活習慣病の治療の基本は食事療法および生活習慣の是正です。これらの疾患の治療は食事療法抜きでは考えられないほど基本的な治療であります。
当院では管理栄養士を常勤で配置して、指導室において食品モデル、食品交換表、いろいろなモデルを用いて病態かの説明から食事指導、生活習慣の指導をいつでも行える体制を整えています。